スパイスカレーから会社がみえる?
一緒に働いているデザイナーのカナさんから、スパイスカレーについて書いて欲しいというリクエストを頂戴しました。でもホームページにスパイスカレーについて書くってどうなんだろうと迷っていたら、このような回答が。
ライフとワークを同じ地平で見ているのがオムスビであり、はぶちさんだなーって思うんです。カレーをスパイスから作ることやコーヒーを生豆から焙煎して作るのも、オムスビらしい人生の楽しみ方なんじゃないかなって!仕事だけじゃない、そういう記事も欲しいです〜
なるほど、たしかにそれは一理あるなと思いました。オムスビは元々自分の息子が生まれた月に、育児しながら働きたいと思って作った会社です。育児も家事もワークだと思ってますし、ライフの中で得られた気づきが仕事に反映されています。
オムスビは組織作りという、カタチにみえないふわっとした仕事をしているので、カタチがあるスパイスカレーを通じてオムスビについて語るのは、ちょっとおもしろいなと思いました。実験的にカレーについての記事を書き始めていますが、予想以上に会社に影響を受けていることがわかりました。もはやスパイスカレーは僕にとって先生です。
スパイスカレー先生との出会い
簡単に先生との関係性についてご紹介すると、一番最初のキッカケは、『海の近く』という海辺の暮らしを楽しむ人のためのフリーマガジンでした。たまたま読んだ回がスパイスカレー特集で、それを読んで鎌倉の極楽カリーにいきました。(これを機に調べたところ『海の近く』6月+7月合併号(2017年6月1日発行)「スパイスのない人生なんて」でした)
帰りに極楽寺にある築100年になる古民家の玄関でスパイスを売っているアナンスパイスに伺いました。アナンさんがいらっしゃって「4つのスパイスと塩だけでカレーができるよ」と教えてくれました。スパイスカレーって難しそうな印象を持っていたので本当かよと思いつつ、バラッツ流! 絶品スパイスカレーという本とスパイスを買ってそれ通りに作ってみたら、めっちゃうまくて感動しました。
それ以来、ほぼ毎週スパイスカレーを作っています。1歳の息子もおかわりするくらい食べるし、キャンプでもスパイスカレーを作ると子供達が大喜び。クライアントの持ち寄りパーティーでもスパイスカレーを作って持っていたら喜んでくれて、以来その会社にカレー部というサークルができました。
趣味は無駄な活動なのだろうか。
でもスパイスカレーの話をすると、「いいご趣味ですね」と社交辞令的に言われることがあります。その裏側には、「何でそんな無駄なことにこだわっているのだろう、理解できない」という皮肉を感じることがあります。僕自身は、誰かに無駄と思われても全く大丈夫で、誰かに理解されたくて作っているわけではありません。作ること自体や、食べること自体だけ十分に満足しています。
ただオムスビではたらくパートナーのみなさんが、誰かに趣味は無駄だとか言われたら嫌だなぁと思いました。「趣味」として切り離してしまうことで、見えなくなるものがあるのではないでしょうか。趣味が無駄だというなら、ただ仕事だけしている会社が生産性が高いとなります。実際はそんな単純なものではないでしょう。木村石鹸さんのブログでも似たようなことが書かれていたので引用させていただきます。
ビジネスというのは不思議なものです。たとえば、いろんな活動がある中で、直接成果に結びつく活動だけに絞ってやっていれば、それでうまく行くかというと、必ずしもそうじゃなかったりもします。仕事上の、様々な工程があるとして、すべての工程の効率を高めると、全体の効率が上がるかという、これまた不思議とそういうわけにはいかないことの方が多かったりもします。
いろいろ理由はあるのでしょうけれど、1つあるのは、あらゆる作業や活動を「効率/非効率」「成果に繋がる/繋がらない」だけで見てしまう組織は、面白味がない、ということなんじゃないかと思ってます。面白味がない、とはこれまた抽象的ですが、ある種の「無駄」とか「遊び」みたいな要素がない組織では、仕事はどんどん「義務」になっていくんじゃないかなと思うんですね。効率や成果には直結しないような活動に意味はあるのか?
スパイスカレーをつくることで仕事に生かされているかをひとつひとつ記述していくことにより、働き方の輪郭がみえてくるのではないかなと思いました。次回以降、スパイスカレー先生に教えてもらった気づきを共有していきたいと思います。