サイトにご訪問いただきありがとうございます。rebornの羽渕です。コロナになってから、人材業界ご出身の方から相談を受けることが度々ありました。また不思議なことにどのご相談も悩みに共通点がありました。

組織開発では、同じ出来事が起きる場合は、構造や思想に原因がないか探ります。お話させていただくうちに、おそらく人材業界特有の思想に起因しているのではないかと思い、この度、言語化してみました。はじめに断っておきますと、人材業界に身を置く方が全て同じ思想ではありませんし、間違っても思想の良し悪しを論じたいわけではありません。人材業界の思想も尊重したいです。

ただ自分の思想にどっぷり浸かっている間は、自分の思想の方向でしか言動ができません。一度的に思想をメタ的に眺めて、いろんな思想があることを知ってみてもいいかなと思います。時代に合わせて自由に選択できたら、より無理なく活動できるのではないでしょうか。

細谷 功著(2016)『メタ思考トレーニング』/PHPビジネス新書の図を基に当社作成

成長したいのに周りがついてきてくれない。

私のところに相談に来られた方々は、凡人の私とは比べものにならないくらい頭がキレて、成長意欲も高いリーダーでした。そんなリーダーのお悩みをお伺いすると、部下や周囲の関係性がうまくいかなくなってきたというのです。

リーダー自身はもっと高いパフォーマンスを目指しているのに、周りは必ずしも同じ想いではなくギャップに悩んでいるようでした。今回のコロナでよりいっそう頑張ろうとした結果、部下との溝が深くなってしまったそうです。

正直にお話ししますと、成長したいのに周りがついてきてくれない失敗は、私もいち早く経験しました(笑)rebornの組織開発でお伝えしている対話の原理原則は、「他人をコントロールしようとしない」ということなのですが、当時は思い切りコントロールしようとして、結果人が去っていきました。人材業界ご出身のリーダーの方もまた同じように他人に自己成長を求めがちなように見えました。

自分のキャリアは自分で創るという思想。

人材業界は、「自分のキャリアは自分で創る」という思想で活動されている方が多いと思います。(日本キャリアデザイン学会事務局次長の記事は、人材業界的な思想を的確に表現されていて参考になります)人材業界の方からすると、そんなの当たり前でしょうと思う方もいらっしゃるからもしれませんが、日本の歴史からみると全然当たり前ではありません。

リクルートグループの沿革・歴史を見ると、1960年に大学新聞広告社が設立されたことから始まります。1963年には就職情報誌が創刊され、1968年に現在の就職活動の主流である自由応募が一般化したようです。キャリア教育という言葉が公文書で初めて使用されたのは1999年です。(採用の歴史の詳細については日本の人事部をご覧ください。

歴史の詳細については専門で研究されていらっしゃる方にお任せしたいですが、ここで言いたいのは50年ほどしか経っていない新しい思想だということです。人間の寿命にしたら長いのですが、日本の歴史から見るとつい最近です。それまでは国が企業に新卒者を割り当てたり、身分制度で役割が決まっていました。今みたいに自己分析をして自分が向いている仕事を探さなくても、社会が仕事を示してくれていたのです。長い歴史から見たら、20代でやりたいことが見つからないというのは、極々当たり前のことなのです。むしろやりたいことがある人の方が異常で、別にやりたいことなんてなくても普通に仕事はできます。

個の時代に揺り戻しがきているのではないか。

さらに現在は個の時代で、独立や複業される方が増え、ソーシャルメディアで発信できるようになって、思想はより一層強化されているように見えます。僕自身、人材業界の思想にどっぷり浸かっていたので、前職ではキャラ立ちしようと必死でした(笑)埋もれないために、他人の反応を引き出すような強い言葉を使ったり、ポジショニングを考えたり。

また人材業界のような労働集約型のビジネスモデルで、かつ正解もKPIも決まっていれば、あとは個人が量こなすだけで、一定の成果が出ます。成功体験が思想を強化します。会社としても成果を出す人間を表彰します。さらに半ばメディアにも取り上げられていくようになれば、承認欲求がドバドバ満たされて、さらに注目される言動をするようになります。人は一度経験したことは忘れないようにできているので、成功体験を他者にも押し付けてしまうのではないでしょうか。

しかしながら、この個の時代ブームから揺り戻しがきているような空気感を、rebornは感じとっています。佐々木俊尚氏のご発言に共感したので、引用させていただきます。

「個人個人が自立してがんばるべし」というのが、21世紀初頭のモデルだったと思うんですよね。「このジャングルを生き抜け」みたいな。でもそれは、自己啓発本やビジネス書のブームを生み、セミナーや最近流行りのオンラインサロンの隆盛を生むという流れだったと思うだけど、これは僕、もう終わりつつあると思うんですよ。


ウェビナー「ウィズコロナ時代の社会とテクノロジー」から佐々木俊尚
氏の発言を引用

みんなが独立しなきゃいけない世界は、正直ちょっと無理がある。Facebookで発信している人も、もはやイツメンですよね。それではどうあるべきなのか。また別の機会にrebornなりの納得解を言語化していきたいと思います。

Posted by:羽渕彰博(ハブチン)

1986年大阪府生まれ。2008年パソナキャリア入社。転職者のキャリア支援業務、自社の新卒採用業務、新規事業立ち上げに従事しつつ、アイデアを短時間で具現化する「アイデアソン・ハッカソン」のファシリテーターとしても活躍。2016年4月に独立し、リレーションシップデザインを軸とするreborn株式会社を設立し、組織変革したい企業様向けの組織コンサルティングサービスを提供している。 reborn Inc. Founder and CEO Akihiro is the Founder and CEO of reborn Inc. Born in Osaka Japan in 1986. Joined the Japanese recruitment agency named Pasona Career. Designed his new career as a facilitator of "Ideason" and "Hackason" who embodies ideas in a short time, while engaged in career support of job changers, recruiting new staffs and launching new business in the company. After left Pasona Career, founded a relationship design company named reborn Inc. in April of 2016. Providing the organizational innovation service "reborn" for companies wanting to change the organization.